ヘブンズガーデンの影の支配者、エクステリアプランナー釜付さん。いつもニコニコと朗らかな彼ですが、エクステリアを手がけるとなれば一転。多くを語らずも、その目は真剣に空間の個性を見極め、長所を引き出すエクステリアを仕上げていきます。今回は、そんな釜付さんに、最近手がけたエクステリアを中心にお話しをお聞きました。
(インタビュー:野神由起子)
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Design by Heavens Garden Design Products.
毎日がリゾート気分。究極の癒しは住まいから。
[自然物+手仕事]の相乗効果で、
味わいあるエクステリアを。
エクステリアプランナー
釜付さんに
聞いてみよう!
暮らしやすさの秘訣は、
小さな部分にも隠されている。
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今回紹介した釜付さん担当の施工宅の紹介が
現在発売中『バイ・ザ・シー28号』に掲載されています。
ヘブンズガーデンのサイトのニュースページから
掲載ページのPDFを公開してありますので、是非ご覧下さい!
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温かみを演出する天然石をハンドカットで使用。
――南国の植栽も見えますが、どのような物がありますか?
釜付 ソテツ、ニオイシュロラン、シダなど、南国で定番の植物を配置しました。しかし敷地の奥にある竹だけは、元々この土地に自生していたものを残した次第です。
――南国イメージの中に竹があることで、落ち着き感が加わったような感じがします。
釜付 細く長く伸びた竹の姿から上品な空気が漂っていますよね。邪魔な物、と決め付けて取ってしまうのは簡単だけど、元々ある自然の物を活かせるというのはとても贅沢なことだと思うんです。だから、エクステリアを手がける時は、ただ人工的に造り上げるだけではなく、その土地ならではの短所を長所に変えたり、長所を最大限に活かしたりする工夫を常に考えています。
――発想力の賜物ですね。
釜付 そんなカッコいい物ではないですよ(笑)。でも、型にはまりすぎるのではなく、「こんなのどうかな?」と思いついたものがあれば、ぜひやってみようと言う気持ちではいます。例えばこちらで言えば、駐車スペースになっている半円状の部分に敷き詰めた、真砂土とコンクリートを混ぜ合わせた素材です。真砂土とは、庭の土や校庭の敷土に用いられるものです。コンクリートをただ敷き詰めるのでは温かみに欠ける……。じゃあ真砂土を混ぜてみよう! それでいい按配に仕上がったのが、ヘブンズガーデンオリジナルの真砂土コンクリート。他社ではなかなかお目にかかれませんよ!
――天然に存在する物と人の手を加えた物。対峙しているようで、実はちゃんとしっくり馴染むんですね!
釜付 はい。組み合わせ次第でお互いの持ち味を高め合えると思います。こちらのウッドデッキも、実は樹脂。天然木よりお手入れが簡単で変色の心配もないんですよ。
――これも天然木にしか見えませんでした……。
釜付 またもやそれが狙いなのです(笑)。樹脂と天然木の粉を混ぜ合わせた素材なので、質感も見た目もとても木に近い風合いが出ているのです。
――そんな優秀な素材があったんですね!
釜付 世の中には実にたくさんの素材が溢れています。その中で、その土地や街柄に合う物、そしてお客様のニーズに合う物をセレクトしていくことも、僕たちの重要な任務。だからいつでもたくさんの情報と知識を持ち続けなくては。素材選びもデザインも、日々勉強! といった感じです。
――次は由比ガ浜にあるS邸について。とてもスタイリッシュな外観ですね。
釜付 白と黒を貴重としたシンプルモダンの建物でしたので、エクステリアもそれに合わせてデザインしました。
――お客様からのリクエストは?
釜付 「通りから玄関が丸見えなので、それをどうにかしたい」ということでした。そこで、まずは目隠しから考え始めました。建物自体のベランダにレッドシダーが用いられていたので、目隠しとなるウッドスクリーンも同様にウエスタンレッドシダーを用いました。
――背の高いウッドスクリーンはデザイン性が高く、とても重厚感がありますね。まるで一つの芸術作品のようです。
釜付 ありがとうございます。目隠しだけを付ければいい、という話であれば、こんな風に背丈を高くしなくても良かったのですが、引き戸を設置するため上段に支えが必要だったので、飾りのスクリーンを作り引き戸の支えの役割を持たせました。それと、二階のベランダの位置や建物の長さなどバランスを考えると、思い切ってスクリーンを高く設置した方が建物との一体感が生まれるんですよね。
――必要な物をただ付けるのではなく、それをデザイン性の向上にもつなげたんですね! 普段多くを語らぬ釜付さん。意外と大胆なんですね!
釜付 ええ。こう見えて僕、結構大胆なんです(笑)。
――(爆笑)
釜付 あと、スクリーンの構造にもひと工夫あるんです。どこでしょう?
――レッドシダーは痛みにくい、とか?
釜付 惜しい! でもハズレです。答えは、躯体がアルミという点です。
――これアルミですか? てっきり同じレッドシダーだと思っていました。
釜付 表から見るとあまり目立つ部分ではないので、同色のアルミだと同じ木に見えるでしょう? それが狙いなんです(笑)。
――私、さっきから釜付さんの術中にはまりっぱなしですね……。
釜付 ありがとうございます。でも、見た目だけではないんですよ。アルミは痛みにくいし、蓋が付いていてビスの部分を隠せるので見た目にもスッキリと仕上げるという長所があります。表に出ている部分なので、こうした長所を活かすために用いました。
――オリジナリティー溢れる工夫がそこかしこに感じられます。
釜付 秦野市のO邸のように、温かみを演出するときは、タイルやコンクリートよりも柔らかさを感じられる石をメインに使用することもあります。この時は、手仕事感でさらに温かみを演出するために、30cm×60cmにハンドカットした砂岩を敷き詰めましたね。
――細部にわたって工夫が凝らされているんですね。
釜付 普段は目にも留まらないような小さな部分の使い勝手も、今後の暮らしやすさを決める大切な要素になると思うんです。だから、高いデザイン性の中にも、きちんと使い勝手の良い動線や設えを落とし込んでいくよう心がけています。
「いつ何時、どんな物件に出会っても、その魅力を最大限に引き出せるよう、自分の中にもたくさんの引き出しを持っていたい」と語る釜付さん。そのために、普段から業界誌を読んだり様々な物件をチェックしながら、エクステリアにおける創意工夫をインプットするようにしていると言います。「色んな記憶、色んな経験、それぞれが分離したり合体したりして、オリジナルが生まれているのかな?」。人と人とのコミュニケーション、様々なエクステリア情報のインプット、そしてそれらをアウトプットする創造力。これらが集結して誕生するエクステリアには、釜付さんのセンスと不断の努力が満ちています。それも全て、住まう人にとっての暮らしやすさの追求のためなのです。
取材にご協力頂いた皆様、ありがとうございました!
――海まで300mと言うこのM邸。エントランスからビーチリゾートの空気を感じますね!
釜付 そうですね。ご家族の方もビーチリゾートテイストをご希望でしたので、思い切り南国リゾートホテルを意識したテイストにしてみました。それに、メイン通りから一歩奥に入った場所にある家なので、隠れ家的なリゾートを演出するのに大変好都合でした。
――立地の個性も活かされたわけですね。
釜付 活かせる物はどんなものでも活かします(笑)。
――南国リゾートホテル風のポイントを教えてください。
釜付 琉球珊瑚石という琉球列島で産出される天然石をふんだんに取り入れた点です。表面に荒穴のあるのが特徴で、植栽や土など自然物との相性は抜群。玄関までのアプローチでは、歩きやすいよう切肌仕上げの平らな物を乱張りし、ウッドデッキまでの小道には大小様々なサイズの物をそのまま配置しました。
――沖縄でよく見かける石ですね?
釜付 はい、石畳や石垣など、沖縄では古くから使われている素材なんですよ。奥の小道には小さめの化粧砂利を敷き詰めて琉球珊瑚石の存在感を際立たせてみました。
――全体的にとても明るい雰囲気ですね。
釜付 南国リゾートがテーマなので、やはり太陽の光はいつでも降りそそいでもらいたいと思って、白を貴重にコーディネートしました。白は光を反射してくれるので、曇りの日でも明るく照らしてくれるんですよ。
――秋や冬でも南国のような明るさが演出されるわけですね。
釜付 はい。エントランスからのアプローチに敷き詰めた琉球珊瑚石の目地も白、門柱にも白のジョリパット。白い砂浜をイメージしつつ、採光も確保しました。
――白い木目のフェンスもナチュラルな感じで素敵です。
釜付 こちら、実は木ではなくて、自然木の風合いを施した樹脂フェンスなんです。「見た目は天然木がいいけれど、手入れが簡単な方がいい」という方にオススメの素材なんですよ。
――木にしか見えませんでした……。
釜付 でしょう? それが狙いなのです(笑)。このフェンスは目隠し代わりにもなっているので、一番高い所で約2mの高さがあります。白い樹脂フェンスにした理由は、明るさや手入れの簡単さを意識しただけではなく、圧迫感を取り除くためもあります。黒系の色やブロック素材を用いると、どうしても圧迫感を与えてしまいますので。
――なるほど! 色や素材一つで随分と雰囲気が変わるものなんですね!
釜付 フェンスの隙間も大切なんですよ。詰めすぎると開放感がなくなるし、開けすぎると目隠しにならないですからね。
――全体のバランスを取ることが重要なんですね。
釜付 開放感で言えば、アイアンの門にも工夫があります。人の出入りだけのスペースを開放するのではなく、門自体を観音開きでオープンにできるようにしました。こうすることで臨機応変に開放感を出すこともでき、来客用の駐車場として空間を無駄なく活用することができるのです。
――アイアンの門に施されたオブジェも南国テイストですね。
釜付 これは、モンステラと言うハワイを代表する植物です。定番と言えば定番ですが、アイアンにすることで重厚感が出ますよね。
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2011年8月配信
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